「ふぅ――――――」
湯船の中で大きく伸びをしてリラックスをする。
優はもうお風呂に入ったので、ヤツに長風呂を指摘されることもない。
ご飯も遅くなるって言ってたし、せっかくだからゆっくり入ってやろう。
「うーーーーん、なんだかなー」
友達と必要以上に仲良くならないようにするようになって数年。
友達に遊びに誘われたことはたくさんあるけど、私から誘ったことはない。
そんなことをすれば、特定のグループと仲がいいとか思われちゃう可能性があるから。
特定の中がいい子を作らなければ、色々なグループから誘われて、友達にはなれる。
遊びに行っても気は抜けない。会話も変に自分の意見を入れないようにとか、当たり障りのない会話になるように気をつけている。
そんなのだからか、遊びに誘われても心の奥底から『楽しみ』と思ったことはない。
「メンドクサイって思っちゃう方が多いんだよね……」
それでも、美桜と友達となったあの日、八つ当たりのように、美桜に思いをぶつけたあの日。
私は『もっと友達と仲良くなりたい』『一緒に笑いたい』と思いを伝えた。
それは、嘘じゃない。
その時はそう心から思っていたことだという確信がある。
ただ、今はどうだろうか。
私は、他の友達と『もっと友達と仲良くなりたい』『一緒に笑いたい』と思っているのだろうか。
「一緒に笑いたい。これは多分変わっていない。かな」
未だに、私は美桜以外の友達との接し方、距離感は変わっていない。ちひろを除いて。
ちひろは、全部を知っているわけではないけど、どん底まで落ちていた美桜を救った子だ。
美桜はちひろのことを心の底から信頼している。
美桜とちひろは幼馴染なんだろうなと思っていたけど、三人でテスト勉強のためにしばらく一緒にいる時間が長かったからわかる。
あれは、単なる幼馴染という枠にとどまらず、もっと深く強い絆で結ばれている。
「嫌だな………………」
私は今、何を口走ったのだろう。
美桜とちひろが特別な絆で結ばれていると思った瞬間、ふっと気持ちが沈み、無意識に言葉が漏れた。
『不変なものはない』と、美桜は言った。その通りだと思う。ただ………………。
「色々かわりすぎだろぉぉぉ〜〜〜〜」
言って恥ずかしくなり、思いっきりお風呂に潜り、叫ぶ。
息が苦しくなったところで最悪なことが判明して、思い切り立ち上がり、叫ぶ。
「あーーーーーーーー、最悪! このお風呂、優が入ったあとじゃん!」
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